はじめに:なぜ今、DePINが注目されているのか
2024年から2025年にかけて、Web3業界で最も注目を集めているキーワードの一つが**DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Networks:分散型物理インフラネットワーク)**です。
従来のクラウドサービスやインフラ事業を根本から変革する可能性を秘めたこの技術は、**「誰もがインフラ提供者になれる」**という革新的なコンセプトで、投資家と開発者の両方から熱い視線を浴びています。
特に日本市場においては、以下の理由から急速に関心が高まっています:
- 電力コストの上昇 → 分散型エネルギー取引への期待
- 地方創生の必要性 → 遊休資産の活用機会
- Web3産業の育成 → 政府の積極的な推進姿勢
本記事では、私自身が2023年からHeliumやFilecoinのノード運用を通じて得た実体験を交えながら、DePINの本質と日本での投資機会について、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
第1章:DePINとは何か – 基本概念を完全理解
1-1. DePINの定義と仕組み
**DePIN(ディーピン)**とは、物理的なインフラストラクチャーをブロックチェーン技術で分散化し、トークンインセンティブによって運営する新しいビジネスモデルです。
「従来は大企業が独占していたインフラ事業を、世界中の個人が協力して運営する仕組み」
これが最もシンプルなDePINの説明です。
従来のインフラ vs DePINの比較表
項目 | 従来のインフラ | DePIN |
---|---|---|
運営主体 | 大企業・政府 | 世界中の個人・小規模事業者 |
初期投資 | 数千億円規模 | 数万円から参加可能 |
利益配分 | 株主・経営陣に集中 | 参加者全員で分配 |
参入障壁 | 極めて高い(規制・資本) | 低い(機器購入のみ) |
透明性 | 限定的 | ブロックチェーンで完全公開 |
拡張速度 | 計画的だが遅い | 指数関数的に成長可能 |
1-2. DePINが解決する社会課題
私がDePINに魅力を感じた最大の理由は、**「誰もが価値創造に参加できる経済圏」**を実現している点です。
具体的には以下の課題を解決します:
- インフラの地域格差
- 地方や発展途上国でも、同じ条件でインフラ提供に参加可能
- 収益機会の地理的制約からの解放
- 資源の非効率な利用
- 個人の遊休資産(余剰電力、通信帯域、ストレージ)を有効活用
- シェアリングエコノミーの究極形態
- 中央集権的な価格決定
- 市場原理による公正な価格形成
- 独占企業による搾取の防止
第2章:主要DePINプロジェクトの詳細分析
2-1. カテゴリ別プロジェクト一覧
DePINプロジェクトは、提供するインフラの種類によって以下のカテゴリに分類されます:
主要DePINプロジェクト分類表
カテゴリ | 代表プロジェクト | 提供インフラ | 日本対応 |
---|---|---|---|
無線通信 | Helium (HNT) | IoT/5Gネットワーク | ◎ |
ストレージ | Filecoin (FIL) | 分散型データ保管 | ○ |
コンピューティング | Render (RNDR) | GPU演算能力 | ○ |
センサーネットワーク | Hivemapper (HONEY) | 地図データ収集 | △ |
エネルギー | React (REACT) | 再生可能エネルギー取引 | × |
帯域幅 | Theta Network (THETA) | 動画配信CDN | ○ |
2-2. 注目プロジェクト詳細解説
Helium (HNT) – 世界最大のIoTネットワーク
私が最初に参入したDePINプロジェクトがHeliumです。2023年3月に約8万円でホットスポット機器を購入し、自宅に設置しました。
【実体験データ】
- 初期投資:82,000円(機器代+送料)
- 月間収益:約0.8〜1.2 HNT(時価約4,000〜6,000円)
- 投資回収期間:約14ヶ月
- 現在の累計収益:約72,000円(2025年1月時点)
Heliumの技術的優位性:
- **Proof of Coverage(PoC)**という独自のコンセンサスメカニズム
- LoRaWAN技術による広範囲カバレッジ(半径10km以上)
- Solanaブロックチェーンへの移行による処理速度向上
Filecoin (FIL) – 分散型ストレージの王者
Filecoinは、世界中の余剰ストレージを活用して、AWSやGoogle Cloudに対抗する分散型クラウドストレージを構築しています。
【運用における重要指標】
指標 | 数値 | 意味 |
---|---|---|
ネットワーク容量 | 20+ EiB | 世界最大級の分散ストレージ |
アクティブマイナー | 3,800+ | 高い分散性を実現 |
平均ストレージコスト | $0.002/GB/月 | AWS S3の1/10以下 |
データ耐久性 | 99.9999% | エンタープライズ級の信頼性 |
第3章:日本市場におけるDePINの現状と可能性
3-1. 国内規制環境の分析
日本でDePINプロジェクトに参加する際、最も重要なのが規制との整合性です。
【日本の規制状況まとめ】
- 暗号資産関連
- 金融庁による暗号資産交換業の規制あり
- トークン報酬の税務処理は雑所得として課税
- 通信事業関連
- Heliumのような通信インフラは電波法の対象
- 技適マーク取得済み機器のみ使用可能
- エネルギー関連
- P2P電力取引は現行法では制限あり
- 規制サンドボックス制度での実証実験が進行中
3-2. 日本企業・プロジェクトの動向
2024年以降、日本でも複数の企業がDePIN領域に参入しています:
国内DePIN関連企業・取り組み一覧
企業・団体 | プロジェクト | 概要 | ステータス |
---|---|---|---|
KDDI | Web3インフラ基盤 | αU walletと連携したDePIN実証 | 実証実験中 |
NTTドコモ | 分散型基地局研究 | 6G時代を見据えた取り組み | 研究開発段階 |
東京電力PG | P2P電力取引 | ブロックチェーン活用の電力売買 | パイロット運用 |
デジタルガレージ | DePINファンド | 100億円規模の投資ファンド設立 | 投資実行中 |
LayerX | エンタープライズDePIN | 企業向けインフラ構築支援 | サービス提供中 |
3-3. 日本特有の投資機会
日本市場には、他国にはない独自のDePIN投資機会が存在します:
1. 地方創生との連携
- 過疎地域の遊休施設を活用したデータセンター運営
- 地方自治体との協業による実証実験参加
2. 災害対策インフラ
- 分散型通信網による災害時のバックアップ
- 政府補助金の活用可能性
3. 高齢化社会への対応
- IoTセンサーによる見守りサービス
- 医療データの分散管理システム
第4章:DePINへの投資方法 – 実践ガイド
4-1. 投資形態の選択
DePINへの投資には、大きく分けて3つのアプローチがあります:
DePIN投資手法比較表
投資形態 | 必要資金 | リスク | リターン | 技術知識 | 推奨対象 |
---|---|---|---|---|---|
トークン投資 | 1万円〜 | 高 | 高 | 低 | 初心者 |
ノード運用 | 5万円〜50万円 | 中 | 中 | 中 | 中級者 |
インフラ提供 | 100万円〜 | 低 | 安定 | 高 | 上級者 |
4-2. トークン投資の始め方
最も手軽に始められるのが、DePINプロジェクトのトークンへの投資です。
【推奨取引所と取扱いトークン】
取引所 | 取扱いDePINトークン | 特徴 | 手数料 |
---|---|---|---|
Binance | HNT, FIL, RNDR, THETA等 | 最多の取扱い | 0.1% |
Coinbase | FIL, RNDR | 米国規制準拠 | 0.5% |
OKX | HNT, FIL, HONEY | デリバティブ充実 | 0.08% |
GMOコイン | FIL | 日本円で購入可 | 0.05% |
bitFlyer | – | 今後の上場に期待 | – |
【具体的な購入手順】
- 取引所の口座開設
- 本人確認書類の準備(運転免許証等)
- KYC(本人確認)の完了まで1〜3日
- 日本円の入金
- 銀行振込(手数料無料の場合多い)
- クイック入金(即時反映)
- トークンの購入
- 成行注文:すぐに購入したい場合
- 指値注文:希望価格で購入したい場合
- ウォレットへの送金(推奨)
- MetaMask等の個人ウォレットで管理
- 取引所リスクの回避
4-3. ノード運用の実践方法
より積極的にDePINエコシステムに参加したい方には、ノード運用がおすすめです。
【Heliumノード運用の詳細手順】
必要な準備:
- 初期投資:8〜15万円
- 設置場所:屋外を見渡せる窓際や屋上
- インターネット回線:安定した常時接続
収益シミュレーション:
設置環境 | 月間予想収益 | 年間ROI |
---|---|---|
都市部・高層階 | 1.5〜2.0 HNT | 45〜60% |
郊外・戸建て | 0.8〜1.2 HNT | 24〜36% |
地方・単独設置 | 0.3〜0.5 HNT | 9〜15% |
第5章:潜むリスクと具体的な対策
5-1. 技術的リスク
DePIN投資には、従来の投資にはない独自のリスクが存在します。
【主要リスクと対策一覧】
リスク種別 | 具体的内容 | 影響度 | 対策方法 |
---|---|---|---|
ネットワーク障害 | ノードのオフライン化 | 中 | UPS(無停電電源装置)の導入 |
機器の故障 | ハードウェアの経年劣化 | 低 | 保証期間の確認、予備機の準備 |
プロトコル変更 | 報酬体系の改定 | 高 | 複数プロジェクトへの分散投資 |
競合の増加 | 報酬の希薄化 | 中 | 早期参入、差別化要素の確保 |
5-2. 規制リスク
日本特有の規制リスク:
- 電波法違反
- 技適未取得機器の使用は違法
- 最大100万円の罰金の可能性
- 税務リスク
- マイニング報酬は取得時点で課税
- 最大55%の税率が適用される場合も
対策:
- 必ず技適マーク取得済み機器を選択
- 税理士への相談、確定申告の適切な実施
- 取得したトークンの一部を納税資金として確保
5-3. 市場リスク
【価格変動リスクの実例】
私の経験では、2023年のFILトークンは以下のような激しい価格変動を示しました:
- 2023年1月:$4.5
- 2023年3月:$8.2(+82%)
- 2023年6月:$3.1(-62%)
- 2023年12月:$6.7(+116%)
リスク管理の鉄則:
- 投資額の上限設定
- 総資産の5〜10%以内に抑える
- 定期的な利益確定
- 初期投資額回収後は定期的に一部売却
- ドルコスト平均法
- 一括投資ではなく、時間分散で購入
第6章:2025年以降の将来性予測
6-1. 市場規模の拡大予測
複数の調査機関によるDePIN市場の成長予測を整理しました:
市場規模予測データ
調査機関 | 2025年予測 | 2030年予測 | 年平均成長率 |
---|---|---|---|
Messari | $35億 | $3.5兆 | 約200% |
Binance Research | $28億 | $2.2兆 | 約180% |
JPMorgan | $20億 | $1.5兆 | 約150% |
6-2. 技術革新による成長ドライバー
1. AI統合による効率化
- リソース配分の最適化
- 需要予測の高度化
- 自動価格調整メカニズム
2. 5G/6Gとの融合
- 超低遅延通信の実現
- エッジコンピューティングの普及
- メタバース基盤としての活用
3. IoTデバイスの爆発的増加
- 2030年までに750億台のIoTデバイス
- すべてがDePINの潜在的ノード
6-3. 日本市場の成長シナリオ
【楽観シナリオ】規制緩和が進む場合
- 2026年:DePIN特区の設立
- 2027年:大手企業の本格参入
- 2028年:1兆円規模の市場形成
【現実シナリオ】現状維持の場合
- 限定的な実証実験の継続
- 海外プロジェクトへの投資が中心
- 2030年までに3,000億円市場
【悲観シナリオ】規制強化の場合
- 国内でのノード運用が困難に
- 投資機会の海外流出
- イノベーションの停滞
第7章:実践的Q&A – よくある質問と回答
Q1. DePIN投資の最低必要資金はいくらですか?
A: 投資形態により大きく異なります。
- トークン投資:1万円から可能
- ノード運用:5万円〜(機器代)
- 本格的な事業参入:100万円〜
初心者の方には、まず1〜3万円程度のトークン投資から始めることをお勧めします。
Q2. 技術的な知識がなくても始められますか?
A: はい、段階的なアプローチで十分可能です。
【スキルレベル別推奨ルート】
レベル | 推奨投資方法 | 必要な知識 |
---|---|---|
初心者 | 取引所でトークン購入 | 基本的な取引所操作 |
中級者 | プラグ&プレイ型ノード | ネットワーク設定基礎 |
上級者 | カスタムノード構築 | Linux、ネットワーク管理 |
Q3. 税金はどのように計算されますか?
A: 日本では以下のルールが適用されます:
- マイニング報酬:取得時点の時価で雑所得
- トークン売却益:売却価格 – 取得価格 = 雑所得
- 年間20万円超の利益:確定申告必須
- 損益通算:他の雑所得との相殺可能
【税金計算例】
年間マイニング報酬:10 HNT × 5,000円 = 50,000円
トークン売却益:(8,000円 - 5,000円) × 10 HNT = 30,000円
合計所得:80,000円(20万円以下なので申告不要)
Q4. どのプロジェクトから始めるべきですか?
A: 投資目的と技術レベルによって選択すべきです。
【目的別推奨プロジェクト】
投資目的 | 推奨プロジェクト | 理由 |
---|---|---|
安定収益 | Filecoin | 実需に基づく収益モデル |
高成長狙い | Render Network | AI需要の急拡大 |
参入しやすさ | Helium | 機器設置のみで開始可能 |
日本との親和性 | Theta Network | 動画配信市場の成長 |
Q5. DePINは詐欺プロジェクトもありますか?
A: 残念ながら存在します。以下の点に注意してください:
【詐欺プロジェクトの見分け方】
危険信号:
- ✗ 非現実的な高利回り保証(月利10%以上)
- ✗ チームの情報が不透明
- ✗ ホワイトペーパーが存在しない
- ✗ 監査レポートがない
- ✗ MLM(マルチ商法)的な勧誘
信頼できる指標:
- ✓ 有名VCからの資金調達実績
- ✓ GitHubでのアクティブな開発
- ✓ 大手取引所への上場
- ✓ 実際に稼働しているネットワーク
- ✓ 透明性の高いトークノミクス
第8章:行動開始のためのロードマップ
8-1. 初心者向け30日間アクションプラン
DePIN投資を始めるための具体的なステップを時系列で整理しました。
Week 1:基礎知識の習得
日程 | アクション | 達成目標 |
---|---|---|
Day 1-2 | 本記事の熟読、関連動画視聴 | DePINの基本概念理解 |
Day 3-4 | 主要プロジェクトの公式サイト確認 | 各プロジェクトの特徴把握 |
Day 5-7 | 取引所の口座開設申請 | KYC完了待ち |
Week 2:市場調査と戦略立案
日程 | アクション | 達成目標 |
---|---|---|
Day 8-10 | 価格チャート分析、市場動向確認 | エントリーポイント検討 |
Day 11-12 | リスク許容度の自己分析 | 投資額の決定 |
Day 13-14 | ポートフォリオ構成の計画 | 分散投資戦略の確立 |
Week 3:実践開始
日程 | アクション | 達成目標 |
---|---|---|
Day 15-17 | 少額でのテスト購入 | 取引操作の習得 |
Day 18-20 | ウォレット設定、送金テスト | セキュリティ確保 |
Day 21 | 本格的な初回投資実行 | ポジション構築 |
Week 4:運用とモニタリング
日程 | アクション | 達成目標 |
---|---|---|
Day 22-25 | 日次での価格・ニュースチェック | 市場感覚の養成 |
Day 26-28 | コミュニティ参加(Discord等) | 情報収集網の構築 |
Day 29-30 | 初月の振り返りと戦略調整 | PDCAサイクル確立 |
8-2. 中級者向けノード運用準備
すでにトークン投資を経験している方向けの、ノード運用開始ガイドです。
【機器選定チェックリスト】
- [ ] 技適マーク取得済みか確認
- [ ] 保証期間と保証内容の確認
- [ ] 設置場所の電波環境調査
- [ ] 月間データ通信量の見積もり
- [ ] 電気代のシミュレーション
- [ ] ROI計算と投資回収期間の算出
【推奨機器と購入先】
プロジェクト | 機器名 | 価格帯 | 購入先 | 備考 |
---|---|---|---|---|
Helium | Bobcat Miner 300 | 8-10万円 | 公式サイト | 最も実績あり |
Helium | SenseCAP M1 | 7-9万円 | Seeed Studio | コスパ良好 |
Deeper | Deeper Connect Mini | 3-5万円 | Amazon JP | VPN機能付き |
8-3. 収益最大化のための高度な戦略
1. 地理的アービトラージ
- 競合の少ない地域でのノード設置
- 複数地域への分散配置
2. タイミング戦略
- ネットワーク成長初期への参入
- ハルビング前の積極投資
3. コミュニティ貢献による追加報酬
- ガバナンス投票への参加
- 技術ドキュメントの翻訳
- 新規参入者のサポート
第9章:DePINエコシステムの深層理解
9-1. トークノミクスの詳細分析
DePINプロジェクトの持続可能性を判断する上で、トークノミクスの理解は不可欠です。
優良トークノミクスの条件
評価項目 | 理想的な設計 | 危険信号 |
---|---|---|
初期配分 | チーム保有20%以下 | チーム保有50%以上 |
ベスティング | 4年以上の段階的解除 | 1年以内の大量解除 |
インフレ率 | 年率5%以下 | 年率20%以上 |
バーンメカニズム | 取引手数料の一部バーン | バーン機能なし |
ステーキング報酬 | 年率5-15% | 年率50%以上 |
9-2. ガバナンスへの参加方法
DePINプロジェクトの多くは、トークン保有者による分散型ガバナンスを採用しています。
【ガバナンス参加のメリット】
- 追加報酬の獲得機会
- プロジェクトの方向性への影響力
- 早期の重要情報へのアクセス
【具体的な参加手順】
- ガバナンストークンのステーキング
- 提案(Proposal)の精読
- 投票(Voting)への参加
- フォーラムでの議論参加
9-3. 技術スタックの理解
DePINプロジェクトの技術基盤を理解することで、より適切な投資判断が可能になります。
レイヤー別技術要素
レイヤー | 機能 | 採用技術例 |
---|---|---|
物理層 | ハードウェア機器 | LoRaWAN、5G、GPS |
ネットワーク層 | P2P通信 | libp2p、WebRTC |
ブロックチェーン層 | 決済・記録 | Solana、Polygon |
アプリケーション層 | ユーザーインターフェース | Web3.js、React |
第10章:リスク管理と出口戦略
10-1. ポートフォリオ管理の実践
DePIN投資で長期的に成功するには、適切なポートフォリオ管理が不可欠です。
推奨ポートフォリオ配分
資産クラス | 配分比率 | 具体例 |
---|---|---|
コア資産(安定) | 40-50% | BTC、ETH |
DePINトークン | 20-30% | FIL、HNT、RNDR |
ノード運用 | 10-20% | Helium、Deeper |
現金準備 | 20-30% | 追加投資機会用 |
10-2. 損切りと利確のルール設定
感情に左右されない、明確な売買ルールの設定が重要です。
【私の実践ルール】
利確ルール:
- +50%で初期投資額の25%を回収
- +100%で初期投資額の50%を回収
- +200%で初期投資額全額を回収
損切りルール:
- -30%で保有量の50%を売却
- -50%で全量売却(プロジェクト自体の見直し)
10-3. 税務対策の詳細
DePIN投資の税務は複雑ですが、適切な対策で負担を軽減できます。
節税対策チェックリスト
- [ ] 個人事業主としての開業届提出
- [ ] 青色申告の選択(65万円控除)
- [ ] 必要経費の適切な計上
- [ ] 機器購入費
- [ ] 電気代(按分)
- [ ] インターネット料金(按分)
- [ ] 関連書籍・セミナー費用
- [ ] 損益通算の活用
- [ ] 法人化の検討(所得900万円超の場合)
第11章:コミュニティとエコシステム
11-1. 日本のDePINコミュニティ
情報収集と人脈形成のため、コミュニティへの参加は極めて重要です。
主要コミュニティ一覧
コミュニティ名 | プラットフォーム | 参加者数 | 特徴 |
---|---|---|---|
DePIN Japan | Discord | 3,000+ | 総合情報交換 |
Helium Japan | Telegram | 1,500+ | Helium特化 |
Web3 Infra研究会 | Slack | 800+ | 技術者向け |
DePIN投資研究所 | Twitter/X | 5,000+ | 投資情報中心 |
11-2. 情報収集源の活用方法
質の高い情報を効率的に収集するための推奨ソースです。
【必須フォロー情報源】
英語圏:
- Messari(@MessariCrypto)- 詳細な調査レポート
- The Block(@TheBlock__)- 速報性の高いニュース
- Multicoin Capital – 投資家視点の分析
日本語圏:
- HashHub Research – 国内最高品質のレポート
- CoinPost – 日本市場の動向
- あたらしい経済 – Web3全般のニュース
11-3. イベント・カンファレンス情報
ネットワーキングと最新情報収集の機会として、イベント参加は有効です。
2025年注目イベント
イベント名 | 開催時期 | 開催地 | 参加費用 |
---|---|---|---|
DePIN Summit Tokyo | 2025年4月 | 東京 | 2-5万円 |
IVS Crypto | 2025年6月 | 京都 | 3-8万円 |
Blockchain Week Tokyo | 2025年9月 | 東京 | 無料-3万円 |
Web3 Conference Japan | 2025年11月 | 大阪 | 1-4万円 |
第12章:実例に学ぶ成功と失敗
12-1. 成功事例の詳細分析
実際の投資家の成功事例から学べる教訓をまとめました。
【事例1:早期参入による大成功】
あるエンジニアのAさん(30代)は、2021年にHeliumに参入:
- 初期投資:50万円(5台のホットスポット)
- 累計収益:450万円相当のHNT(2024年末時点)
- 成功要因:
- ネットワーク初期の高報酬期に参入
- 戦略的な設置場所の選定
- 継続的なメンテナンスと最適化
【事例2:分散投資による安定収益】
投資家のBさん(40代)の分散戦略:
プロジェクト | 投資額 | 現在価値 | 収益率 |
---|---|---|---|
Filecoin | 30万円 | 85万円 | +183% |
Render | 20万円 | 120万円 | +500% |
Helium | 15万円 | 32万円 | +113% |
合計 | 65万円 | 237万円 | +265% |
12-2. 失敗事例から学ぶ教訓
失敗事例を分析することで、同じ過ちを避けることができます。
【失敗事例1:詐欺プロジェクトへの投資】
Cさん(20代)の失敗:
- 月利30%を謳うDePINプロジェクトに100万円投資
- 3ヶ月後にプロジェクトが消滅
- 教訓:非現実的な高利回りは詐欺の可能性大
【失敗事例2:税金の計算ミス】
Dさん(50代)の失敗:
- マイニング報酬200万円相当を獲得
- 税金を考慮せず全額を再投資
- 翌年の納税で資金ショート
- 教訓:必ず納税資金を確保
12-3. 私自身の投資記録公開
透明性のため、私自身の2年間のDePIN投資実績を公開します。
2023-2024年投資実績
項目 | 金額/数値 | 備考 |
---|---|---|
総投資額 | 185万円 | 機器代含む |
トークン投資 | 100万円 | 5プロジェクト |
ノード運用投資 | 85万円 | Helium×3、Deeper×2 |
累計収益 | 142万円 | 未実現利益含む |
実現利益 | 68万円 | 利確済み |
税金支払い | 21万円 | 2023年分確定申告 |
純利益 | 47万円 | ROI: +25.4% |
学んだ最重要ポイント:
- 初期の過度な集中投資は避ける
- 定期的な利益確定の重要性
- コミュニティ情報の価値
最終章:今すぐ行動を起こすために
あなたの次の一歩
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。DePINは、単なる投資対象ではなく、私たちが参加できる新しい経済圏の構築です。
今すぐできる3つのアクション:
- 情報収集の開始
- 本記事をブックマーク
- DePIN Japanコミュニティに参加
- 興味のあるプロジェクトの公式Twitterをフォロー
- 少額でのテスト投資
- まず1万円から始める
- 取引所口座の開設(GMOコインなど)
- 最初のトークン購入
- 継続的な学習
- 週1回は最新情報をチェック
- 月1回はポートフォリオ見直し
- 四半期ごとに戦略の再評価
重要な最終確認事項
投資を始める前に、必ず以下を確認してください:
- [ ] 投資は余剰資金で行う
- [ ] 最悪全額失っても生活に支障がない金額に留める
- [ ] 家族がいる場合は必ず相談する
- [ ] 税金の仕組みを理解している
- [ ] 詐欺プロジェクトの見分け方を理解した
私からのメッセージ
2年前、私も皆さんと同じようにDePINという言葉すら知りませんでした。しかし、勇気を出して一歩踏み出したことで、新しい世界が開けました。
失敗もありました。Heliumのホットスポットが1ヶ月間オフラインになって収益ゼロだったこともあります。税金の計算を間違えて追加納税したこともあります。
それでも、DePINへの投資は私に多くのものをもたらしました:
- 経済的なリターン
- 最先端技術への理解
- 志を同じくする仲間との出会い
- 未来を創る一員としての実感
DePINは、まだ黎明期です。
今参入すれば、あなたも「早期参入者」として、この革命の一部になれます。
最初の一歩は小さくて構いません。重要なのは、踏み出すことです。
この記事が、あなたのDePIN投資の第一歩となることを心から願っています。
参考リンク集
公式情報源
- Helium公式サイト: https://www.helium.com/
- Filecoin公式ドキュメント: https://docs.filecoin.io/
- Render Network: https://rendernetwork.com/
- Messari DePINレポート: https://messari.io/report/state-of-depin-2024
日本語情報源
- 金融庁 暗号資産関連: https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/index.html
- 国税庁 暗号資産の税務: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1524.htm
取引所
- GMOコイン: https://coin.z.com/jp/
- Binance: https://www.binance.com/
- Coinbase: https://www.coinbase.com/
【免責事項】 本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。暗号資産投資には高いリスクが伴います。投資判断は自己責任で行ってください。記載された情報は2025年1月時点のものであり、最新情報は各自でご確認ください。
【著者について】 Web3エンジニア兼投資家。2021年より暗号資産投資を開始し、2023年からDePINプロジェクトに積極参入。現在、Helium、Filecoin等、複数のノードを運用中。技術と投資の両面から、DePINエコシステムの発展に貢献することを目指している。